【6月7日 AFP】知られている中で最古の動物が残した足跡を中国で発見したとする研究論文が6日、発表された。足跡が刻まれた年代は約5億4100万年前にさかのぼるという。

 間隔が数ミリしかないこの足跡をどのような種類の微小生物が残したのかは不明だ。浅いくぼみが2列に並んでいるようにみえる足跡は暗灰色の石灰岩に刻まれている。

 米科学誌「サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)」に掲載された論文によると「これは最古の動物の足跡化石記録と考えられる」という。

 中国南部の長江三峡(Yangtze Gorges)地域で発見されたこの足跡化石は、6億3500万年前~5億4100万年前のエディアカラ紀のものとみられる。

 論文の執筆者で、中国科学院(Chinese Academy of Sciences)の研究者のジュ・チェン(Zhe Chen)氏は、AFPの取材に応じた電子メールで「足跡化石を含む岩石の年代については5億5100万年前~5億4100万年前と非常に高精度の年代測定結果が得られている」と述べている。

「過去には5億4000万年前~5億3000万年前の足跡が確認されていた。新発見の化石はそれより最大で1000万年古いものとみられる」

「どのような動物がこの足跡を残したかは不明だが、唯一明確に分かるのは、体が左右対称の形をした左右相称動物だったに違いないということだ。なぜなら対をなす付属肢を持っていたからだ」と、チェン氏は指摘した。

「現存する動物で対をなす付属肢を持つグループは少なくとも三つ(ハチなどの節足動物、ゴカイなどの環形動物、人間などの四肢動物)ある。可能性としては節足動物か環形動物、あるいはそれらの祖先が考えられる」

 論文によると、足跡が堆積物にある穴まで続いているように見えることから、この動物は時々立ち止まり「おそらく酸素と餌を採取するために」堆積物に穴を掘っていた可能性があるという。

「動物の付属肢に関する、知られている最古の痕跡の一部」を提供する今回の足跡化石により「付属肢を持つ動物の生痕化石の最古記録がカンブリア紀初期(5億4100万年前~4億8500万年前)からエディアカラ紀末期まで伸びる」という。(c)AFP