【6月6月 AFP】オーストラリアで魚の個体数が大幅に減少しているとして、専門家らが海洋保護区の増設や生態環境の管理改善を要請している。

 豪タスマニア大学(University of Tasmania)とシドニー工科大学(University of Technology Sydney)の研究チームは6日、2015年までの10年間、国内544か所で200種近い魚類について行った調査結果を発表した。

 魚の個体数が減っている主な理由は乱獲で、さらに気候変動が影響しているとも指摘している。研究者らによると20センチを超える大型の種では、個体数が約3割減っているという。

 今回の研究はオーストラリア大陸沿岸の魚類のサイズと生息数に関する初の独立評価とされ、ダイバーによる岩礁周辺での潜水調査も数多く実施。そうして漁が制限あるいは禁止されている海洋保護区と、漁が許可されているエリアを比較したという。

 すると、漁獲禁止区域内での個体数は増えていたものの、漁が一定程度認められている海洋保護区を含むその他のエリアでは、商業漁業や娯楽目的の釣りによって個体数が減っていることが一貫して確認された。

 海洋保護に関する学術誌「Aquatic Conservation」に発表された論文は、世界の海の98%超で何らかの形態の漁が許されている現況には「即刻、多国間的な注意」が必要だと警鐘を鳴らしている。

 論文の主著者のグラハム・エドガー(Graham Edgar)氏は「現在の非常に低い漁獲高が2倍になる程度の魚類個体群の効果的な回復は、現在の慣行を大きく変更することなくしてあり得ない」と述べている。(c)AFP