【6月6日 AFP】伊「ピークアドロ(Piquadro)」は4日、仏ラグジュアリーブランド「ランセル(Lancel)」を買収したと発表した。今後もブランドのアイデンティティは保持しつつ、商品をモダン化させる方針だ。

「ピークアドロ」は、1997年から「ランセル」を傘下に持つスイスの「リシュモン(Richemont)」からブランドを買収。

「ランセル」の買収を「誇りに思っている」と「ピークアドロ」のマルコ・パルミエリ(Marco Palmieri)最高責任者は声明で明かし、同ブランドには「大幅な成長の見込みがある」と見ていると話した。

 今回の契約で「リシュモン」は今後10年間、3500万ドル(約44億9900万円)を上限とし、「ランセル」の利益の一部を受け取ることとなっている。

 この発表の数日前である1日には、「リシュモン」が英2次流通の高級時計の販売会社「ウォッチファインダー(Watchfinder)」の買収を発表した。

「ランセル」は世界中で高く評価されており、ロシアや中国、中東などで人気が高い。しかし近年ではその利益性は急減しており、2008年には220店あった店舗も現在では71店にまで減っている。

 350人を雇用する「ランセル」は3月期決算で5300万ユーロ(約68億1000万円)の売上高に対し、2300万ユーロ(約29億5500万円)の税引前事業損失を出していた。

イタリア・ミラノ市内にある「ピークアドロ」の店舗外観(2018年6月4日撮影)。AFP PHOTO / MIGUEL MEDINA

「ピークアドロ」は「歴史と強いアイデンティティを持ったブランド」を探していたとパルミエリはAFPに対し語り、「ランセル」は「1876年からのスタイルアイコン」だとした。

 また、「ランセル」の持つ仏国のアイデンティティを順守すると話した。「本部やデザイン、ロジスティック――すべてを仏国に残します」

 ボローニャ(Bologna)に本拠地を置く「ピークアドロ」は1987年、パルミエルがわずか22歳の時に立ち上げた会社で、近年では力強い成長を遂げてきた。売上高は3月期決算で28%増の約1億ユーロ(約128億4900万円)を記録した。

 850人を雇用する「ピークアドロ」はビジネスバッグやトラベルバッグ、アクセサリーなどを専門に扱っている。最近では、盗難防止とスマートフォンの充電機能を備えたモダンなパソコン用バックパックやスーツケースで話題となっている。(c)AFP