【6月6日 AFP】全仏オープンテニス(French Open 2018)は5日、男子シングルス準々決勝が行われ、世界ランキング72位のマルコ・チェッキナート(Marco Cecchinato)が6-3、7-6(7-4)、1-6、7-6(13-11)で大会第20シードのノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)を破り、イタリア出身男子選手としては40年ぶりとなる四大大会(グランドスラム)4強入りを果たした。

 チェッキナートは今大会を迎えるまでグランドスラムで1勝もしたことがなく、わずか2年前には八百長疑惑でプロキャリアが閉ざされかける経験をしたが、グランドスラム通算12回の優勝を誇るジョコビッチを撃破して準決勝に進出した。

 世界72位での全仏4強は、1999年に同100位で準決勝に勝ち進んだアンドレイ・メドベージェフ(Andrei Medvedev、ウクライナ)以降では最も低いランク。またイタリア人男子のグランドスラム4強は、1978年に同じ全仏でベスト4入りしたコラド・バラズッティ(Corrado Barazzutti)以来、40年ぶりとなる。

 チェッキナートは自分でも金星に驚いた様子で「もしかしてまだ寝てるのかな。うそみたいだ。信じられない。すごくうれしいよ。ジョコビッチをローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)の準々決勝で倒せるなんて信じられない。夢みたいだ。タイブレークでは2本取られて、僕も2本取って、マッチポイントを3本握り、それで4本目でやっと取れた。すごく疲れたよ」と話した。

 チェッキナートは次戦、第7シードのドミニク・ティエム(Dominic Thiem、オーストリア)と決勝の椅子をかけて争う。

 試合は流れが激しく行き来する展開になり、どちらもコーチングで警告を受けた。ジョコビッチは2回のメディカルタイムアウトを要請し、チェッキナートも不適切な振る舞いで1ポイントのペナルティーを科された。

 ジョコビッチは第2セットで3本のセットポイントを握りながらこのセットを失うと、再びタイブレークの激闘となった第4セットでも、一時はゲームカウント5-2としながら、第9ゲームのサービスゲームでブレークを許し、迎えたタイブレークでは相手のマッチポイントを3本しのぐ粘りを見せた一方で、自らも3本のセットポイントをふいにした。

 ジョコビッチがチェッキナートより低いランクの選手にグランドスラムで負けたのは、78位のマラト・サフィン(Marat Safin)に敗れた2008年のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2008)と、117位のデニス・イストミン(Denis Istomin)に敗れた2017年の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2017)の2回しかない。

 異様な雰囲気に包まれた試合後の記者会見で、うつむきがちな2016年大会王者は、過去に3回の優勝を飾っているウィンブルドン欠場の可能性を示唆した。そしてチェッキナートのプレーに敬意を払いつつ、苦しい試合だったと認めた。

「芝でプレーするかはわからない。最初から少し痛いところがあって、体が温まってきたら良くなったけど、確かに第4セットの4-1からブレークポイントをいくつも逃したのは情けなかった」 (c)AFP/Dave JAMES