■「ワインは人と分かち合うもの。大事に取っておかないで」

 ジャイエ氏のワインが、業界で引く手あまたとなり、時に桁外れの値が付いたのは、こうした優れた品質からだ。

 オークションで最も高値でやりとりされるワイン──1978~2001年産のヴォーヌ・ロマネ・クロパラントゥ(Vosne-Romanee Cros-Parantoux)マグナムボトル15本のセット──の予想落札額は、28万~48万スイスフラン(約3100万~5300万円)となっている。

 今回予想されている落札総額は、670万~1300万スイス・フラン(約7億4000万~14億5000万円)。それぞれのワインには、トレーサビリティ(流通経路)と真正性を保証するラベルが貼られている。

 しかし、ジャイエ氏の娘たちが落札者に望むのは、ワインを貯蔵室に寝かせたまま後生大事に取っておくことではない。ボトルを開けて味わうことだ。

 2人は「ワインの味わい方を知っている人の貯蔵室に入ることを願うばかり」としながら、「ワインは人と分かち合うものであることを忘れないでほしい。父が造ったワインは何よりも、飲んで楽しむためのものだったのだから」と続けた。(c)AFP/Eloi ROUYER