【6月4日 時事通信社】中国で民主化を求める学生らが武力弾圧された天安門事件から4日で29年を迎えた。例年同様、事件の現場となった天安門広場などは厳戒態勢が取られ、民主活動家らに対する監視も行われた。習近平指導部は情報統制を一層強化しており、多くの知識人が「一般市民の間で事件の風化が進む」(北京の大学教授)ことを懸念している。

 毎年6月4日が近づくと当局は追悼式などの開催阻止に動く。民主活動家の何徳普氏はツイッターで5月28日から自宅の周囲に警察の車両が駐車し軟禁状態に置かれていると明らかにした。当局に「旅行」名目で北京を離れ地方に行くよう求められた活動家もいる。

 事件で多くの犠牲者が出た現場に近い北京の地下鉄駅入り口は3日午後封鎖された。記者が訪れると2人の警官が日本語で話し掛けてきた。身分証を提示するまでもなく、警官は記者の名前を知っており現場を立ち去るよう求めた。言葉遣いは丁寧だったが、私服も含めた多数の警官が配置されており従うしかなかった。天安門広場も普段より厳重な警備で「立ち入りには許可が必要だ」と追い返された。

 4日に先立ち、犠牲者の親たちの会「天安門の母」は習近平国家主席に宛てた公開書簡を発表し、真相究明と賠償、責任追及を要求した。書簡は「悲惨な事件は歴史となったが、災難は終わることがなく傷口も癒えない」と訴えた。

 だが、習指導部が遺族の願いに耳を傾ける気配はない。中国外務省の華春瑩・副報道局長は4日の記者会見で、事件を「1980年代末に起きた政治風波(騒動)」と呼び、弾圧を正当化する立場を改めて示した。ネット上で自由に情報発信することは認められておらず、事件について「全く知らない」と言う若者も珍しくなくなっている。(c)時事通信社