【6月4日 AFP】北朝鮮が、米朝首脳会談を前に朝鮮人民軍(KPA)のトップ3人を入れ替えたと複数メディアが伝えている。韓国政府は4日、異例の動きだとして「今後の展開を監視していく」と発表した。

 12日にシンガポールで予定される金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長とドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の会談では、北朝鮮の核問題が議題の中心となる見通し。複数の報道によれば、今回の人事異動には北朝鮮軍の統制を強める目的があるとみられる。

 既に5月末、軍総政治局長が金正角(キム・ジョンガク、Kim Jong Gak)氏から、金秀吉(キムスギル、Kim Su Gil)氏に交代することが北朝鮮国営メディアによって報じられていた。

 さらに韓国の聯合(Yonhap)ニュースは情報筋の話として、軍総参謀長が李明秀(リミョンス、Ri Myong Su)氏から李永吉(リ・ヨンギル、Ri Yong Gil)氏に、人民武力相が朴永植(パク・ヨンシク、Pak Yong Sik)氏から努光鉄(ノ・グァンチョル)第1次官にそれぞれ交代したと伝えた。

 韓国統一省は4日、事実なら異例の大規模改造だと指摘。白泰鉉(ペク・テヒョン、Baik Tae-Hyun)報道官は、「関連する今後の展開を監視していく」と述べた。

 北朝鮮において朝鮮人民軍は非常に強い影響力を誇り、独立した権力中枢を持つ。これは、金委員長が主な式典に出席する際、両脇に必ず軍高官と文官が並ぶのに象徴されている。ウェブサイト「北朝鮮リーダーシップ・ウオッチ(North Korea Leadership Watch)」によれば、軍総政治局長の交代は「党が引き続き軍の手綱を締めていることを意味している」という。(c)AFP