【6月3日 AFP】スペインの社会労働党(PSOE)のペドロ・サンチェス(Pedro Sanchez)書記長(46)は2日、首都マドリード郊外のサルスエラ宮殿(Zarzuela Palace)で首相就任の宣誓を行った。スペイン北東部カタルーニャ(Catalonia)自治州の独立派はサンチェス新首相に対し、同自治州の独立運動をめぐり速やかな対話を求めた。

 前日の1日、スペイン議会は与党・国民党(PP)の汚職問題が引き金となったマリアノ・ラホイ(Mariano Rajoy)前首相に対する不信任決議を可決していた。サンチェス新首相の宣誓式にはラホイ前首相も出席した。

 国王フェリペ6世(King Felipe VI)の前で就任宣誓したサンチェス新首相は、「良心と名誉を重んじる心、国王への忠誠心をもって首相の職務を忠実に遂行し、国家の基本原則としての憲法を守り、守らせることを約束する」と述べた。サンチェス氏はスペインの首相としては初めて、聖書も十字架も持たずに就任宣誓を行った。

 経済学者で政権に入った経験はないサンチェス氏が華々しく政治の最前線に躍り出た。サンチェス新首相はこれから組閣作業を行い、数日以内に新内閣を発足させる。

 しかし前途は多難だ。急進左派政党ポデモス(Podemos)からカタルーニャ分離独立派までさまざまな政党の支持で成り立つ少数与党政権を率いていかなければならないからだ。

 新首相が就任するやいなや、カタルーニャ自治州のキム・トラ(Quim Torra)州首相は対話を求めた。州都バルセロナ(Barcelona)で開かれた自治州政府閣僚の就任宣誓式でトラ氏は「ペドロ・サンチェス首相、あなたと私たちで話し合い、この問題(カタルーニャ自治州の独立問題)に対処し、リスクを取りましょう」と述べた。

 サンチェス新首相はカタルーニャの分離独立に強硬に反対していたが、カタルーニャ分離独立派が議会でラホイ前首相の不信任案に賛成すると、新しい自治州政府との間に「橋を築きたい」と述べるなど態度を軟化させている。(c)AFP/Marianne BARRIAUX