【6月2日 AFP】全仏オープンテニス(French Open 2018)の男子シングルスに出場しているイタリアのファビオ・フォニーニ(Fabio Fognini)は、男子プロテニス協会(ATP)から「NextGen」として若手有望株に位置づけらている選手が、大会でいわゆる特別扱いを受けていることについて痛烈に批判した。

 今大会の第18シードにつけているフォニーニは、四大大会(グランドスラム)で目覚ましい結果を残していないにもかかわらず、一部の若手選手の試合がメインコートで組まれていることに対して不公平だという認識を示し、スター選手扱いされる前に「もっとパスタを食べて、走って、試合に勝ってみろ」と攻撃した。

 25歳未満でグランドスラム制覇を成し遂げた男子選手は、2009年の全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2009)で優勝したファン・マルティン・デルポトロ(Juan Martin Del Potro、アルゼンチン)が最後となっており、現在21歳のアレクサンダー・ズベレフ(Alexander Zverev、ドイツ)や19歳のデニス・シャポバロフ(Denis Shapovalov、カナダ)は、これまでグランドスラムを制したことは一度もない。

 3回戦で23歳のカイル・エドモンド(Kyle Edmund、英国)と対戦するフォニーニは、2回戦でスウェーデンのエリアス・イマー(Elias Ymer)に6-4、6-1、6-2で勝利を収めた後、イタリアメディアに対し、「このネクスト・ジェネレーションとやらにはうんざりだ。こういう注目の集め方は気に入らない」と不満をあらわにした。

「ラファ(ラファエル・ナダル<Rafael Nadal、スペイン>)は18歳で全仏に勝った。シャポバロフは世界ランク25位で成長途中なのに、初戦はコート・フィリップ・シャトリエ(Court Philippe-Chatrier)で、2回戦は1番コートだった。その日のスケジュールで、例えば(ガルビネ・)ムグルサ(Garbine Muguruza、スペイン)対(スベトラナ・)クズネツォワ(Svetlana Kuznetsova、ロシア)の試合が他のコートになっているのを見ると当惑してしまう」

 ナダルをはじめ、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)やノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は、いずれも22歳になる前にグランドスラムのタイトルを獲得している。一方、今大会の第2シードであるズベレフは、すでにマスターズ1000(ATP World Tour Masters 1000)で3回優勝を果たし、今年のローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)でも優勝候補の一角に挙げられているが、グランドスラムで8強入りを果たした経験は一度もない。

 さらに、今大会ではシャポバロフが2回戦で世界70位のマクシミリアン・マーテラー(Maximilian Marterer、ドイツ)に敗れているほか、若手有望株のチョン・ヒョン(Hyeon Chung、韓国)とアンドレイ・ルブレフ(Andrey Rublev、ロシア)はけがで欠場している。

 ATPは昨シーズンに発足した「NextGen」シリーズで若手選手の底上げを図っており、イタリア・ミラノで行われたネクストジェネレーション・ATPファイナル(Next Gen ATP Finals)では、21歳以下の最も優秀な選手8人がプレーした。

 フォニーニは「ATPの取り組みは良いものもたくさんあるが、これについては承服できない。このNextGenとやらについては理解できない」と続けると、「こうやって、これらの若手選手に注目を集めることには賛成できない。彼らが良いプレーをしてくれることを望んでいる。シャポバロフは必ず世界トップ5の仲間入りを果たすことだろう。良いプレーをすれば、その選手はどのみち注目を浴びるだろうし、ナダルのようになれるはずだ」と主張した。

「(カレン・)カチャノフ(Karen Khachanov、ロシア)、ルブレフ、ズベレフ、シャポバロフ、彼らは全員良いプレーをしている。だけど、彼らがあんなふうにちやほやされているのは気に入らないし、認められない。シャトリエのコートでフェデラーと対戦するのではなく、27番コートで第5セットを10-8で制するとか、そういう試合を経験する必要があるんだ。もっとパスタを食べ、走って、試合に勝たないとだめだ」 (c)AFP