【6月1日 AFP】ウクライナ治安当局と協力して自身の殺害を偽装したジャーナリストのアルカディ・バブチェンコ(Arkady Babchenko)氏が5月31日、世界を欺いたこの作戦の詳細を明らかにした。

 ウクライナ当局は5月29日、バブチェンコ氏が自宅で殺害請負人に銃撃されて死亡したと発表。それから12時間以上たった30日、同氏は首都キエフで行われた記者会見に現れて世間を驚かせた。

 ウクライナ国家保安庁(SBU)は、作戦はロシアが命じた実際のバブチェンコ氏暗殺を阻止する目的であり、暗殺を計画した容疑者を拘束したと発表した。

 バブチェンコ氏は報道陣に、「私が知る限り、この特殊作戦の計画は2か月前に始まった」と語り、自らが作戦に加わったのは1か月前だと明かした。

 当初は作戦に懐疑的で、SBUに対して怒りすら覚えたが、実行犯が自分について非常に詳細な情報を持っていることを知り、協力することにしたという。

 ロシアの2度のチェチェン紛争に兵士として参加した後にジャーナリストになったバブチェンコ氏は、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に批判的な独立系紙ノーバヤ・ガゼータ(Novaya Gazeta)など複数のメディアに寄稿。ブログでも精力的に記事を発表し、ロシア当局が政府に批判的な人物を殺害し、ウクライナやシリアなどで戦争を引き起こしていると非難していた。

 バブチェンコ氏は、脅迫を受けたため2017年2月にロシアを逃れ、チェコとイスラエルを経て現在はキエフで暮らしている。

 作戦に協力することを決めたバブチェンコ氏にウクライナ治安当局は外出を控えさせた。「リスクを減らすため、私は脚を負傷したので家にいるという作り話をでっち上げた」とバブチェンコ氏。