【6月2日 AFP】(写真追加)冥王星は大気が非常に薄いにもかかわらず、その表面はメタンの氷(固体メタン)でできた驚くべき「砂丘」で覆われているとの研究結果を、国際チームが5月31日に発表した。この砂丘は比較的最近に形成されたものだという。

 冥王星の大気は表面圧力が地球大気の10万分の1で、極めて希薄なため、固体メタンの微粒子を寄せ集めたり浮揚させたりするのは不可能ではないかと研究者らは推測していた。

 だが、米科学誌サイエンス(Science)に発表された論文によると、冥王星の表面全体に吹いている風速約8~11メートルの弱い風が、氷原と山脈の境界に波状の地形を形成したのだという。

「砂丘の粒子を作り出しているのは、近くの山脈から風で運ばれてくる固体メタンである可能性が高い」と論文は説明している。「だが、固体窒素の可能性も排除できない」

 論文によると、幅が約75キロの帯状の領域全体に散在しているこの砂丘群は、米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「ニュー・ホライズンズ(New Horizons)」が2015年に行った冥王星へのフライバイ(接近通過)で発見されたという。

 砂丘地形の存在が知られている他の天体としては、地球の他に火星、金星、土星最大の衛星タイタン(Titan)や67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(Comet 67P/Churyumov-Gerasimenko)などがある。

 論文の主執筆者で、英プリマス大学(University of Plymouth)の講師(自然地理学)のマット・テルファー(Matt Telfer)氏は「大気と硬い岩石質の表面を持つ太陽系内の天体はすべて砂丘地形を持つことが知られていたが、冥王星上でどのようなものが見つかるかは想像もつかなかった」とした上で、「大気が非常に希薄で、表面温度がマイナス230度前後であってもやはり砂丘が形成されることが判明した」と話した。