【5月31日 AFP】ジェームズ・マティス(James Mattis)国防長官は30日、米太平洋軍(PACOM)を「インド太平洋軍(Indo-Pacific Command)」に改称すると発表した。米戦略構想でインド洋(Indian Ocean)の重要性が高まっていることを反映させるためとしている。

 第2次世界大戦(World War II)に編成された太平洋軍は、米軍で最古、最大の司令部。

 マティス長官はハワイ州パールハーバー(Pearl Harbor)の基地で、米国の駐韓国大使に指名されたハリー・ハリス(Harry Harris)太平洋軍司令官の離任式に出席し、改称を発表した。新司令官にはフィリップ・デービッドソン(Philip Davidson)提督が就任した。

 ただ、改称は現時点ではおおむね象徴的なものにとどまり、インドの西側から米太平洋岸までを含む広大な領域の管轄領域や資産が直ちに変更されるわけではない。

 改称は、中国がアジア太平洋全域で影響力を強めていることに対抗する取り組みの一環。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領については、地域の主導権を中国に明け渡してしまっているという批判の声も上がっている。

 トランプ大統領は、2015年に世界の国内総生産(GDP)の4割を占める12か国が合意した環太平洋連携協定(TPP)から米国を脱退させた。残りの11か国は米国抜きで妥結し、米国がこの地域の貿易に関して発言権を低下させる半面、中国に好機が開かれる形になっている。(c)AFP/Thomas WATKINS