■「眠る価値」

 旅行会社のコピーエディターをしているローラ・リーさん(28)は、コーヒータイムよりも35分間の仮眠を好んでいる。

 リーさんは毎週、5番街のトランプタワー(Trump Tower)の向かいにある高級スパ「YeloSpa」に姿を現す。そして、SF映画から抜け出してきたかのような六角形の個室に入ると、無重力ポジションのベッドに横たわる。無重力ポジションとは、膝を軽く曲げて足の位置を高くする姿勢のことで、心拍数を下げて眠りに誘う効果があるとされる。

 35分後に「疑似太陽光」で目覚めるようになっていると、店長のマヤ・ダスカロバさんが説明してくれた。利用料は1分当たり1ドル(約110円)で、最短20分から最長40分まで利用可能だ。

「仕事がたくさんある日は特別に利用します。午後を乗り切る英気を養うために」とリーさん。「私はコーヒーを飲まないので、疲労を感じた時には、睡眠をとること以外に特にできることがないんです」と語る。

 ランチタイムに仮眠をとっていることを同僚たちに話したことはない。だが友人たちに明かしたところ、金銭を払って仮眠をとるという発想に当惑した様子だったという。リーさんは「みんな、時間の無駄か、お金の無駄だと思っているんでしょう」と言いつつ、「お金の余裕がある限り、それをかけるだけの価値はあります。利用後は気分が良くなるので、それで十分」と話した。