【5月30日 AFP】米州機構(OAS)が任命した独立した国際専門家パネルが、人道に対する罪でベネズエラを国際刑事裁判所(ICC)に付託する「合理的な根拠」があるとする報告書をまとめた。OASが29日、発表した。

 報告書は、ベネズエラでは2015年以降少なくとも8292件の「裁判によらない処刑」が行われ、治安部隊が違法かつ暴力的な家宅捜査を行なった際に即決処刑を正当化するため容疑者との衝突がでっち上げられたケースが多く、対象となったのは一般的に若い男性だったと指摘した。

 また、ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が故ウゴ・チャベス(Hugo Chavez)前大統領の後任に選出された2013年の大統領選以降、恣意(しい)的に身柄を拘束された市民は1万2000人以上、政治犯として捕らえられた人は1300人以上で、2014年以降にマドゥロ大統領に対する抗議デモの最中に殺害された人は131人に上るという。

 専門家パネルは「少なくとも2014年2月12日以降にベネズエラ市民が当局から受けた仕打ちには人道に対する罪が含まれていると考えるに合理的な根拠があると考える」として、人道に対する罪の捜査開始と、400ページに及ぶ同報告書をICCに送付することを勧告した。(c)AFP