【5月30日 AFP】コーヒーチェーン大手のスターバックス(Starbucks)は29日、米国内の8000か所以上の店舗を一時的に休業し、従業員約17万5000人に人種偏見についての一斉研修を行った。この種の研修をこれほど大規模に実施したのは前例がなく、米国で人種差別との闘いが続けられている現状が浮き彫りとなった。

 今回の研修は、4月12日に米東部ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)のスターバックス店舗で黒人男性2人が友人を待っていたところ、何も注文していないという理由でトイレの使用を拒否された上、警察に通報され逮捕されたことを受けたもの。ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の就任以来人種間の対立が深刻化していた米国ではこの出来事をきっかけに怒りや抗議行動が起こり、改めて人種問題について考える気運が高まっていた。

 報道陣は研修に招かれなかったが、研修は従業員らがスターバックスのハワード・シュルツ(Howard Schultz)会長とケビン・ジョンソン(Kevin Johnson)最高経営責任者(CEO)、さらにラッパーで社会活動家のコモン(Common)さんからの録画メッセージを視聴する内容だという。

 さらに従業員らはドキュメンタリー映画制作者のスタンリー・ネルソン(Stanley Nelson )氏が制作したアフリカ系米国人の歴史と公民権運動に関する作品を視聴。その後小グループに分かれて自分の人種差別の経験について話し合う。

 シュルツ会長はCNNの番組で、「4時間の研修で米国の人種的不公正が解決するとは思っていないし、当社の店舗に来てトラブルに遭う方もいるかもしれないが、われわれは対話を始めなければならない」と語った。

 スターバックスは米国内外で更に研修を実施する考えを表明している。同社は世界70か国に約2万5000店舗を展開している。(c)AFP/Jennie MATTHEW