【5月30日 AFP】昨年9月に米自治領プエルトリコ(Puerto Rico)を襲ったハリケーン「マリア(Maria)」による死者数は、公式推計の約70倍に当たる4600人余りだったとみられるとの調査結果を、米ハーバード大学(Harvard University)の研究チームが29日、発表した。

 政府の発表した死者数は64人だが、専門家らはハリケーンの襲来による停電と損害のため正確な死者数の把握は難しかったと指摘。これまでの独立調査では死者数は1000人近くとされていた。

 しかしハーバード大がまとめた最新の推計では、ハリケーンの到来した2017年9月20日から12月31日の死者数は4645人と、これまでの推計をはるかに上回った。

 米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に掲載された論文によると、死者の多くは、停電や道路の分断・浸水による治療の中断が原因で命を落としたとされる。

 ハリケーン「マリア」による経済損失は900億ドル(約9兆8000億円)で、1900年以降米国を襲ったハリケーンで3番目の大きさとなった。2005年に米国を襲ったハリケーン「カトリーナ(Katrina)」は、被害額が米国史上最大となったが、死者数は推定1833人だった。(c)AFP/Kerry SHERIDAN