【5月30日 AFP】世界最大の難民キャンプのほこりっぽい斜面にぽつんとたたずみ、オシウル・ラフマンさん(53)は丘に目を向けていた。数日前、その丘で土砂崩れが起き、1人の難民の少女が生き埋めになって亡くなったばかりだった。ラフマンさんは、自分の足元の土が今にも崩れ落ちるのではないかと不安を抱いていた。

「私たちの家族は今に命を落とします。ここではあちこちに子どもがいますが、雨が降れば土砂崩れが起きるのではないかと気が気ではありません」。AFPの取材に応じたラフマンさんは、急斜面に建てられた竹製の掘っ立て小屋に家族9人で暮らしている。

 この9か月の間にバングラデシュへ逃れて来たミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)難民
70万人にとって、6月から始まるモンスーンは、暴力的に放逐されて以来、最も深刻な脅威だ。

 バングラデシュ南東部コックスバザール(Cox's Bazar)では、米サンフランシスコの人口を優に上回る100万人近いロヒンギャが避難生活を送っている。だが、この中でとりわけ弱い立場に置かれているのが、難民キャンプに最近到着し、地盤の緩い斜面に建てられた竹と防水シートでできた粗末な小屋を与えられた人々だ。

 モンスーンによる大災害に備え、コックスバザールでは現在、難民キャンプを整備する事業が大々的に展開されている。重機が斜面をならし、なるべく安全な場所への避難も進められている。だが雨期が近づく中、今月1人の少女が土石流にのまれて死亡したことで、これからさらに大きな悲劇が起こるのではないかという不安が人々の間に高まっている。

 洪水と土砂崩れによる直接的な危険にさらされているロヒンギャ難民は推計20万人に上る。だが、移動先に適する安全な土地は不足しており、これまでに移動した難民はわずか2万1000人にとどまっている。

 コックスバザールで国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の緊急支援を統括しているケビン・J・アレン(Kevin J. Allen)氏は「斜面を滑落する人が出たり、低地が水没したりと、まさに人命が失われかねない」と言う。「ロヒンギャの人々は、またも緊急事態に直面させられる恐れがある。今度は母なる自然によってだ」