【5月28日 AFP】フランスのパリ北部で26日、建物5階のベランダからぶら下がっていた4歳児を、マリ出身の男性が地上からよじ登って無事に救出する出来事があった。地元ではヒーローとたたえられ、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領から直接顕彰される予定だ。

 自らの危険を顧みず幼児を助けたのは移民のマムドゥ・ガサマ(Mamoudou Gassama)さん(22)。その様子を捉えた映像はソーシャルメディアで何百万回と再生され、反響を呼んでいる。

 救出劇があったのは26日午後8時(日本時間27日午前3時)ごろ。映像によれば、5階にいた隣室の男性がベランダの敷居越しに幼児が落ちないようにつかもうとする中、ガサマさんが地上から素手でベランダ伝いによじ登って行く。そして5階にたどり着くと、ベランダの手すり壁にまたがって右手で幼児をつかみ、引っ張り上げる。

 現場に消防隊が到着した時には、幼児はすでに無事救出されていた。

 ガサマさんは27日、メディアの取材に答え、何も考えずに行動していたと説明。「人々が叫んだり、車がクラクションを鳴らしたりしていた。ああしてよじ登って、ありがたいことにあの子を助け出せた」と語った。

「助けてから怖くなった。(中略)リビングルームに入ってから体が震え始め、腰が抜けて座り込んでしまった」と振り返った。

 パリのアンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)市長はツイッター(Twitter)でガサマさんの「勇気ある行動」を称賛。直接電話をかけて感謝の言葉を伝えたことを明らかにした。ガサマさんは数か月前にマリからフランスに来たばかりだと説明したという。

 フランス大統領府はAFPに対し、マクロン大統領が表彰のためガサマさんをエリゼ宮(Elysee Palace)に招待したことを明らかにした。

 当局の初動捜査によれば、当時、幼児の両親は自宅を留守にしていた。司法筋によると、警察は子どもを放置していたとして父親を拘束し、話を聴いた。(c)AFP/Alexandra DEL PERAL et Nathalie ALONSO