■ベンゲル級のインパクトを

 ペリマン氏はエスパルスの助監督だった頃、当時の名古屋グランパスエイト(Nagoya Grampus Eight、現名古屋グランパス〈Nagoya Grampus〉)を率いていたアーセン・ベンゲル(Arsene Wenger)氏とつかの間刃を交えた。ペリマン氏は「リーグが導いてくれる人物を探している頃で、ベンゲルにとっても、日本にとっても素晴らしいタイミングだった。ベンゲルはパーフェクトで、勝者だった」と話している。

 ペリマン氏は、イニエスタにはベンゲル監督と同様のインパクトをJリーグに与えると期待を寄せている。ベンゲル監督がグランパスの指揮官に就任した頃は、大ベテランのジーコ(Zico)氏やギャリー・リネカー(Gary Lineker)氏がプレーしたJリーグ創設当初のバブルの名残がまだあったが、このところの日本はリーグの看板となる大物をなかなか呼べずにいる。

「サッカーにリスクは付きものだが、イニエスタはプロフェッショナルな姿勢を備えた選手だし、神戸は報われると確信している。結果で証明する必要はあるが、私としては今回の移籍を契機に、他のクラブも一流選手の獲得レースへの参戦を考えるようになってくれることを期待している」

 バルセロナのメインスポンサーである楽天(Rakuten)の最高経営責任者(CEO)、三木谷浩史(Hiroshi Mikitani)氏をオーナーに持つヴィッセル神戸は、2017年にW杯優勝メンバーでもある元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキ(Lukas Podolski)を獲得。さらにイニエスタの獲得にも成功したことで、ベテランを中心とした海外の有力選手が資金力の豊富な中国クラブを選ぶ流れに一矢報いた。

 ペリマン氏は、イニエスタの経験とプロフェッショナリズムは神戸の選手たちにとっても刺激になるはずだと話し、「日本にも得意分野があるように、日本の選手たちには、ついていくことのできるピッチ上の専門家が必要だ。彼の練習態度や試合に向けた準備は、期待が持てる」とコメントしている。

「ただ練習をこなし、シャワーを浴びて5分後には家に帰るんじゃなくて、サッカーを自分の一部にする。バルセロナでは、選手たちが間違いなくそういうことをやっている。そういう仲間たちだからピッチの上で息の合ったプレーができるし、イニエスタは新しいチームにそういった部分を求めるだろう。とはいえ、神戸が獲得を決めたのは、その部分にも期待しているからだろうがね」 (c)AFP/Alastair HIMMER