【5月26日 AFP】オーストラリア野生動物保護委員会(AWC)は、在来の野生の動植物をネコなどの捕食動物による被害から守るため、世界最長とされる柵を中部の広大な地域に設置した。

 オーストラリアでは、生息地の喪失やネコやキツネ、ウサギなどの外来生物が野生化し、広大な同国の各地で在来種を捕食していることなどから、生物の絶滅率が世界でも最も高い。

 AWCは今月、中部アリススプリングズ(Alice Springs)の北西約350キロにある同委員会が所有する土地に、外来の捕食動物が侵入できないよう、広さ94平方キロ、全長44キロにわたる電気柵を設置した。

 AWCのアティウス・フレミング(Attius Fleming)代表はAFPに対し、オーストラリアでは効果的なネコ対策が実施されていないとして、「この国で特に絶滅が危惧されている動物たちを救うために私たちにできる唯一の方法は、保護柵を設置してネコが入ってこられない広大な区域を設けることだ」と話した。

 フレミング氏は、この区域にネコなどが入れないようにして、絶滅の恐れがある在来種の哺乳類、フクロネコ、フクロアリクイ、ミミナガバンディクート、キタオブトイワバネズミなどを来年、元の生息地に戻す計画を進めていることを明らかにした。またこの区域は、2020年には約1000平方キロに拡大されるという。(c)AFP