【5月26日 AFP】燃料価格の高騰に抗議するトラック運転手らのストライキが続いているブラジルのミシェル・テメル(Michel Temer)大統領は25日、道路を封鎖している運転手らを排除するよう軍に命じた。ストライキは5日続いており、国の物流網はまひ状態に陥っている。

 政府と労組は24日夜、ストライキを15日間停止することで合意したものの、25日もストライキは実行された。テメル氏は、道路を通行できるようにするため軍を動員したと発表。「国民が生活必需品を手に入れることができず(中略)病院が人命を救うために必要な医薬品を確保できない状態は許さない」と述べた。

 さらにテメル氏は、「われわれは運転手らの12の主要な要求を受け入れ、彼らは封鎖を速やかに解除することに同意した。しかし残念ながら少数の過激派が道路の封鎖を続けている」と批判した。

 広大なブラジルは鉄道網が発達しておらず、物流の60%は道路輸送だ。ストライキによって大半の幹線道路が封鎖された。サンパウロ(Sao Paulo)市は25日、市長が非常事態を宣言。市当局が給油所に保管されている燃料などの私的財を差し押さえることが可能になった。

 約13万2000人が働く自動車業界は工場に部品などが届かず操業停止に追い込まれ、輸出にも影響が出ている。首都ブラジリアの空港では、燃料不足のため30便が欠航した。

 今月21日から主要都市のガソリンスタンドには早く燃料を入れようというドライバーらの長い列ができていたが、25日には多くのガソリンスタンドで販売できる燃料がなくなった。

 ブラジルの全国運輸連盟(CNT)によると国内で稼働している輸送トラックは約250万台で、うち約47万7000台は自営業のドライバーが運転している。ストライキが激化すれば経済に壊滅的な影響が出る恐れもある。(c)AFP/Eugenia LOGIURATTO