【5月26日 AFP】フランスの情報機関である対外治安総局(DGSE)の元諜報部員2人が、二重スパイとして中国に機密情報を渡していた容疑で拘束されていることが分かった。当局が25日明らかにした。専門家らによれば、中国当局は外国での諜報能力強化を推し進めているとみており、今回の事件で、そうした動きに光を当たることとなった。

 容疑者らは昨年12月に拘束されたが、24日夜に仏メディアが報じ、フロランス・パルリ(Florence Parly)国防相の発言があるまで事件は明るみに出ていなかった。

 パルリ国防相は仏テレビ局CNewsに「わが国機関のフランス人要員2人と、要員らの配偶者のうちおそらく1人が、外国権力に情報を渡したとの容疑に基づき、反逆行為と見なされる可能性の高い重大な行為をした罪に問われている」と述べた。

 また、匿名の治安筋はAFPに対し、DGSEの要員2人が中国にくみした疑いがあるとの仏メディアの報道内容を確認した。

 仏TMCチャンネルの番組「Quotidien」は、このうち少なくとも1人が中国に駐在していたと報道。さらに、2人はフランスの防諜当局に摘発されたと伝えている。

 中国政府は長年、産業スパイにより貴重な知的財産を獲得していると非難されてきたが、対外的の野心の高まりとともに諜報活動を拡大させているとの見方もある。

 DGSEの情報部門トップを務めたアラン・シュエ(Alain Chouet)氏は、中国は「当然、経済情報も狙い続けているが、政治、外交などの分野で他の主要国が何をしようとしているのか探っている」と指摘した。

 中国外務省は25日、フランスでの元要員拘束をめぐる質問に対し、状況を承知していないと応じた。

 捜査当局は容疑者らが中国側に情報を渡していた期間を特定していないが、パルリ国防相は、当時、2人はまだ在任中だった可能性が「非常に高い」と述べている。(c)AFP/Valérie LEROUX and Michel MOUTOT