【5月25日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長との首脳会談を中止にしたことによって、速やかな非核化交渉への希望は打ち砕かれた。しかし、両国の会談の扉は固く閉ざされてしまったわけではないようだ。

 6月12日にシンガポールで予定されていた米朝首脳間での史上初となる会談は、1年前には想像もできなかったような両国の外交面での歩み寄りの歴史的第一歩となるはずだった。

 しかし23日、トランプ氏はこれを中止すると発表したことにより、次の動きに注目が集まっている。果たして、金委員長は長距離弾道ミサイルのテストを米国に向けて再開し、一方のトランプ氏も「炎と怒り」を北朝鮮に降り注ぐと再び脅迫することになるのだろうか。

 米戦略国際問題研究所(CSIS)の朝鮮専門家リサ・コリンズ(Lisa Collins)氏は、今後の動きについて「北朝鮮が(首脳会談の中止に)どう反応するかによって決まる」と語る。同氏はAFPの取材に「もし北朝鮮の反応がより過激なものとなり、脅し文句を強めてミサイル実験にまで及ぶような事態になれば、約半年前の緊張状態のサイクルに逆戻りする恐れもある」と指摘した。

 米マサチューセッツ工科大(MIT)の安全保障学教授のビピン・ナラン(Vipin Narang)氏も、「結果として、スタート地点よりも、状況がさらに悪くなる可能性がある」としながら「ジョン・ボルトン(John Bolton)大統領補佐官(国家安全保障担当)のようなタカ派の人物によって、このプロセスの失敗が、軍事オプションを検討する上で材料となることも考えられる」と指摘した。

 だがナラン氏は、そのような結論を出すのは時期尚早で、双方が自制を示すなら外交交渉の再開はまだ可能だともコメントしている。