【5月25日 AFP】かつては雪原の中を誰にも気付かれずに跳ね回っていた、白い冬毛に覆われたイタチ科の哺乳類キタイイズナ(学名:Mustela nivalis nivalis)が現在、地球温暖化のせいで捕食動物の格好の標的にされているとの研究論文が24日、発表された。

 問題は、外敵の目をくらますはずの擬態の「ミスマッチ」だ。

 ポーランドのビャウォビエジャ(Bialowieza)の森では、気候変動が原因で積雪日数が過去50年間で半減したのに伴い、この地に生息する冬毛のキタイイズナの個体数が急減していることが、今回の研究で明らかになった。

 現在は1960年代に比べて、森の高地域の積雪が1か月近く早く消失する。キタイイズナの体毛が土色の夏毛に生え変わるよりかなり早い時期に、雪が消えてしまうわけだ。

 英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された論文によると、これによってキタイイズナの姿があらわになり、キツネ、オオカミ、猛禽類や他の捕食動物の目を引くのだという。

「気候変動は擬態のミスマッチを長引かせることにより、キタイイズナの死に多大な影響を及ぼす」と、仏ボルドー大学(University of Bordeaux)のカマル・アトマ(Kamal Atmeh)氏とポーランドの共同研究者2人のチームは結論づけている。

 春の雪解け後にまだ冬毛のままでいることは「局所絶滅につながる可能性」がある。