【5月26日 東方新報】中国のインターネット上で、衛星発信機を装着したカッコウの旅が話題になっている。

 北京市野生動物救護センターと英国鳥類学協会(British Trust for OrnithologyBTO)、中国観鳥会が2016年5月に始めた「北京カッコウ」プロジェクト。カッコウに衛星発信機を付け、移動の状況を研究しようという試みがきっかけだった。

 北京市内の漢石橋湿地自然保護区(Health Bridge Wetland)と野鴨湖湿地公園(Beijing Wild Duck Lake National Wetland Park)、翠湖湿地公園(Cuihu Wetland Park)の3か所で、5羽のカッコウが選ばれた。それぞれフラッピー(Flappy)、スカイボム(Skybomb)、ホープ(Hope)、夢之娟(Mengzhijuan)、子規(Zigui)と名付けられた。

 1年後に再び北京に帰ってきたのは、このうちの2羽で、フラッピーと夢之娟だった。しかし、残念なことに夢之娟は野鴨湖湿地公園に戻ってきてからしばらくして、発信機の信号が途絶えてしまった。残されたのはフラッピーただ1羽となってしまった。ほかのカッコウは、発信機が落ちてしまったか、寿命などで死んでしまったと考えられた。

 フラッピーは16年5月、繁殖地であるモンゴルへ向けて北京を飛び立ったその後、アフリカ南東部のモザンビークで越冬し、翌17年4月、再びアフリカから一路北東方面へ向かい、2か月後にはモンゴルへ戻った。

 フラッピーの16〜17年の総飛行距離は2万6000キロに及び、途中アラビア海を横断した際には、6日間で6500キロも飛んだという。カッコウは海を渡る際、まる2〜3日間は休まずに飛ぶことができ、その際には摂食もしないという。

 中国のインターネット上では、「今月7日までソマリアにいたフラッピーが、再び動き出した」と話題になっている。11日にはオマーンからパキスタン、その後インド北東部まで渡ったことが確認された。

 14日には、ミャンマーにいることが確認された。フラッピーは平均時速30~60マイル(時速約48~96キロ)、風速や風向きによっては時速80マイル(時速約128キロ)で飛行していることがわかった。

 カッコウは、ほかの鳥の巣に卵を産み落として育てさせる托卵(たくらん)という習性がある。「北京カッコウ」プロジェクトの発起人でイギリス人のテリーさんは、「フラッピーの最終目的地は、やはりひと夏を過ごした繁殖地のモンゴルだろう。卵を産み落とした後、また南下の旅に出るだろう」と話している。

 中国のインターネット上で「勇敢な旅人」として話題になっているフラッピー。テリー・タウンゼント(Terry Townshend)さんを含む研究員らは当初、カッコウが北京を離れた後、東南アジアかインド周辺で冬を越すものと予測していたという。発信機がアフリカを表示した時、驚きを隠せなかったという。

 プロジェクトの一員、北京市野生動物救護センターの史洋さんは、「カッコウの移動データの収集は、これまで国内で行われてこなかった。現在収集中のデータは、今後の関連研究の基礎となるだろう」と話している。

 インターネットで話題になっていることに関し、テリーさんは、「身近に感じていたカッコウが、地球の反対側からどのようなルートで飛来してきたのかに興味を持ってもらうことで、カッコウすみかを守ることを意識してもらえたら」と話している。(c)東方新報/AFPBB News