【5月25日 AFP】Jリーグ1部(J1)のヴィッセル神戸(Vissel Kobe)は24日、都内で記者会見を開き、スペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)からアンドレス・イニエスタ(Andres Iniesta)が加入したと発表した。スペイン代表としてW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)を制覇しているイニエスタは、「キャリアにとって重要なチャレンジ」と意気込んでいる。

 J1史上最高となる年俸3000万ドル(約32億8000万円)の3年契約で合意したと報じられている34歳のイニエスタは、都内で開かれた華々しい記者会見で、「きょうは本当に特別な日」とすると、「いろいろなオファーがあった。他のクラブも関心を持ってくれた。ヴィッセル神戸に決めた理由は、提示されたプロジェクトが興味深いものだったから。人としても、選手として、私を信頼してくれたことが大きかった」と話した。

 神戸のオーナーを務める楽天(Rakuten)の三木谷浩史(Hiroshi Mikitani)会長兼社長は、イニエスタに背番号8のユニホームを手渡し、「イニエスタ選手のキャプテンとしてチームを率いてきた哲学や、バルサの持つDNAが注入されるような大きな刺激になり、ヴィッセル神戸にとどまらず日本サッカー界に大きなインパクトを与えてくれると思っています」と述べた。

「世界から日本サッカーが注目を集めることになっていくのではないでしょうか。イニエスタ選手が日本の社会や人々をエンパワーすると信じ、交渉してまいりました。今日のこの日を迎えることができまして、本当に感動しております」

 大勢のトップ選手がキャリア晩年に潤沢な資金を誇る中国に移籍している中、バルセロナで合計674試合に出場し、計32個のトロフィーを掲げたイニエスタが神戸を選んだことは、日本のサッカー界にとって史上最大の移籍になることは間違いない。

 Jリーグは1993年の発足当初、ブラジルのレジェンドであるジーコ(Zico)氏や元イングランド代表のギャリー・リネカー(Gary Lineker)氏ら世界的なスター選手の誘致に成功していたものの、近年ではそうした名選手の獲得に苦労を強いられており、イニエスタ加入の追い風は絶好のタイミングとなっている。

 イングランド・プレミアリーグのアーセナル(Arsenal)でもプレーし、昨季途中にトルコのガラタサライ(Galatasaray)から神戸へ加入したルーカス・ポドルスキ(Lukas Podolski)は同日、自身のツイッター(Twitter)でチームメートになるイニエスタを「歓迎」した。

 W杯ロシア大会(2018 World Cup)の終了後に新しいチームメートに合流することになるイニエスタは、「このクラブ、さらにはJリーグがアジア全体に広まるように私も力を貸したいと思っている。チームメートたちと知り合いになって一緒にプレーすることを心から楽しみにしている」と語った。

 南アフリカW杯決勝のオランダ戦で決勝ゴールを決めたイニエスタを獲得リストのトップに挙げ、同選手の加入交渉に積極的に関与していた三木谷社長は、「世界で最も美しいサッカーをする」と称賛しているイニエスタが日本に来たことによって、これから海外のトップ選手がJリーグに流入してくることにつながるとしている。(c)AFP/Alastair HIMMER