【5月24日 AFP】カナダ政府は23日、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)の難民について、いつでも受け入れる準備があると表明した。十分な支援を約束するとともに、ミャンマーにおける残虐な人権侵害の背後にいる者たちを国際刑事裁判所(ICC)を通じて裁くよう訴えている。

 クリスティア・フリーランド(Chrystia Freeland)外相は記者会見で、ロヒンギャの人々の大半が故郷への帰還を望んでいることに言及し、亡命受け入れの表明はロヒンギャ難民の帰還を阻むものではないと説明。ただ、ミャンマーの現状は安全な帰還につながらないとの見方を示した。

 ミャンマーでは昨年8月、西部ラカイン(Rakhine)州で軍がロヒンギャに対する軍事作戦を開始。これまでに約70万人のロヒンギャが隣国バングラデシュに逃れ、難民キャンプでの生活を強いられている。多くの村が焼かれ、軍や自警団による殺人やレイプの疑惑も指摘されているが、民族浄化の疑いがあるとの米国や国連(UN)による批判をミャンマー政府は強く否定している。

「ロヒンギャには故郷に帰還する権利があるが、現在のところ彼らの帰還に必要となる条件は全く整っていない」とフリーランド外相は指摘し、「迫害はいまだに続いている」と続けた。

 いつ、どのくらいの規模の難民をカナダが受け入れるかといった概要についてフリーランド氏は言及を避け、難民の第三国定住を調整するのは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の任務だと述べた。

 フリーランド氏はまた、「民族浄化」や「人道に対する罪」などの言葉を用い、ミャンマーにおける人権侵害や違反行為に対して責任のある者たちを確実に訴追できるようICCと協力していくと語った。

 カナダ政府は既に2017年に入ってからこれまでに緊急支援として4590万カナダドル(約39億円)を拠出しているが、さらに今後3年間で3億カナダドル(約255億円)を支援すると約束した。(c)AFP