【5月24日 AFP】英国で3月に起きたロシア人親子毒殺未遂事件で、元スパイの父親と共に被害に遭ったユリア・スクリパリ(Yulia Skripal)さん(33)が23日、ビデオ声明を出し、最終的にロシアへの帰国を望むものの、まずは回復することが必要だとの考えを示した。

 ロイター通信(Reuters)の取材に応じたユリアさんの映像は、ロシア全土でテレビ放送された。ユリアさんは現在、英政府の保護下にあり、動画の撮影場所は明らかにされていない。3月4日の毒殺未遂事件以降、ユリアさんがメディアに出るのはこれが初めて。

 水色のワンピースを着たユリアさんは、時に笑顔を見せながらロシア語で、「4月9日に退院したが、治療は続いている」と述べ、「いずれは祖国に帰国することを望んでいる」と表明。ロシア外交団の援助には感謝しているが、今のところロシア大使館からの支援を受け入れる「準備ができていない」と説明した。

 また、「詳細には触れたくないが、治療は侵襲性でとても気がめいるものだったとだけ言いたい」と語り、「その日その日のことだけを考えるようにし、父が完全に回復するまで支えたい」とも言明。「私の人生はひっくり返されてしまった。今は、身体面でも感情面でも自分の人生に起きた信じられない変化を受け入れようとしているところだ」と説明した。(c)AFP