【5月23日 AFP】専門家らは長年、卵を食べると不健康なコレステロールの値が上がると警告してきた。しかし中国と英国の研究チームは22日、1日1個の卵の摂取が心臓病や脳卒中のリスクを減少させる可能性があるとの研究論文を発表した。ただ、外部の専門家には論文を過信し過ぎないよう注意を呼び掛けている人もいる。

 英医学誌「Heart」に掲載された論文によると、研究チームは30~79歳の健康な成人50万人を対象に約9年にわたって調査した結果、「(卵を)消費しない人と比較し、毎日の卵の消費が心血管疾患リスクの低下と関連していた」と結論付けた。

 研究では調査対象を卵の消費割合でグループ分けし、比較。対象者の13%が毎日卵を食べると回答し、9%がめったに、もしくはまったく食べないと答えた。

 調査期間中、対象者の間で心血管疾患が約8万4000件発症し、およそ1万人が同病で死亡したが、卵を食べる人は出血性脳卒中になるリスクが26%低く、さらに毎日の卵の消費は心血管疾患と出血性脳卒中の死亡リスクがそれぞれ18%と28%低いことと関連していたことが分かったという。

 これらの結果を受け、論文では「適度な量の卵(1日1個まで)を食べることは心臓に関するリスクの低下と関連がある」と結論付けられている。

 しかし外部の専門家らは研究結果について、卵を食べることが本当に心血管疾患のリスクを下げるのかどうか証明できていないと疑問を呈している。

 英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)の栄養専門家トム・サンダース(Tom Sanders)氏は、「この研究の最大の欠点は定期的に卵を食べている人はそうでない人よりもずっと裕福であること」と指摘。

 サンダース氏はさらに「日本、オーストラリア、北米、欧州ではここ数十年、脳卒中の率は減少を続けている」「理由はわかっていないが、経済的に豊かになっていることが関係しているのかもしれない」と語った。

 また英エセックス大学(University of Essex)の心臓病専門家、ガビン・サンダーコック(Gavin Sandercock)氏は日々の食事には卵以外にもいろんな食材が使われていると強調し、「このような研究を根拠に卵を食べることは健康に良い(あるいは悪い)と指摘することはばかげている」と述べた。(c)AFP