【5月23日 AFP】北欧諸国の自動車販売店の多くでは、自動車の購入希望者に対して電気自動車(EV)を買わないようセールス担当者が積極的に働き掛けるなど、その販売姿勢が後ろ向きであることが21日、覆面調査を実施した研究者らによって明らかにされた。

 調査報告書がエネルギー関連専門誌「Nature Energy」に掲載された。これによって、CO2排出を減らし地球温暖化対策で重要な鍵を握る電気自動車への見落とされていた障壁が暴露される形となった。

 研究者らは、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、アイスランド、フィンランドの自動車販売店82店に対し、購入希望者を装い126件の問い合わせを行った。

 今回の調査では、電気自動車(EV)に対する誹謗中傷、走行距離あるいは充電条件などの仕様に関する誤った情報の提供、さらにはEV車を選択肢から外してのセールスなど、対象となった販売店での驚くべき実情が明らかになった。

 報告書は、問い合わせの約3分の2で販売員がガソリン車またはディーゼル車の購入を強く促し、時には内燃機関搭載車のみを勧め、それと同時に「EV車を積極的に排除した」としている。また同4分の3以上で、販売員が電気自動車も同様に取り扱っていることを隠して話を進めたともされた。

 さらにある販売店では、購入者に経済的破綻をもたらすとの理由で、電気自動車を買わないよう「助言」がなされた。また別の販売店でも、問い合わせた車種ついて、実際の最高速度の半分にあたる「時速80キロまでしか出ない」との説明があった。

 米消費者情報誌「コンシューマー・リポート(Consumer Reports)」のデータに照らし合わせると、こうした購買意欲を失わせる行為は、実際の顧客の満足度に反するものであることがすぐにわかる。米国では、電気自動車の信頼性について、内燃機関車両よりも高く評価されているのだ。電気自動車は、ガソリン車やハイブリッド車と比べてその仕組みがシンプルで、故障を起こしたり定期的交換が必要な冷却システムやフィルター、点火プラグなどの部品も不要となっている。