【5月27日 東方新報】中国では母乳育児をする母親が増え、公共の場で授乳ができる場所が少ないことに対する不満が高まっている。記者が北京(Beijing)市内で地下鉄や列車の駅、公園、病院など公共スペースを訪ねたところ、授乳室は増えてはいたが、まだ需要には追い付いていないことが分かった。

 北京南駅2階には、授乳室と書かれた部屋があった。ガラスの門には鍵がかかっており、乳児を連れた母親を見かけたスタッフがやって来て鍵を開けていた。

 室内にはベビーベッド、ソファが2台ずつと、ポットなどがあり、静かな空間で、3人の母親が子どもに母乳をあげたり、寝ているのを見守ったりしていた。

 その後も、次から次へと子連れの母親が入ってきて、授乳室は混雑していた。北京南駅の授乳室は一か所だけで、春節や連休期間は行列ができているという。

 地下鉄昌線の昌平駅では、トイレの近くに「母子育児室」と記されたスペースがあった。門の前にある電話で連絡をすると、1分も経たないうちにスタッフが鍵を持って走ってきた。スタッフは「中の清潔さを保つために施鍵しているが、近くのスタッフに声を掛ければいつでも使える」と説明した。

 授乳室は小さいながらも、ベビーベッドやソファ、絵本、ウェットティッシュなどが備られていた。しかし利用者は少ないそうで、「存在を知らない人が多いかもしれない」とスタッフ。

■お勧めは愛琴海ショッピングセンターと北京動物園

 一方、北京の商業施設は多くが授乳室を設けている。ただし質はまちまちだ。

 お勧めは朝陽区の愛琴海ショッピングセンター(Aegean Beijing Shopping Mall)3階に設置された授乳室。ミルクを温める道具や消毒器などもそろっており、授乳スペースの独立性が保たれている。

 別の商業施設は、子ども用トイレと授乳室が同じスペースにあり、「外で授乳した方がまし」と母親たちの不興を買っていた。

 北京動物園のサービスセンターにはベビーベッドや本、ロッカーなどそろった快適な授乳室がある。スタッフによると、非常によく利用されており、子どもの休憩場所にもなっている。(c)東方新報/AFPBB News