■歯の化石の「年輪」を分析

 これまでの学説では、現在生きている「鳥類型恐竜」(鳥類)は飛びやすくなるために歯を失ったとされてきた。しかしこの説では、中生代の非鳥類型恐竜の一部も歯のないくちばしを独自に進化させたことの理由を説明できないという。

 鳥にとってくちばしの方が餌を食べるのに都合が良いとする説もある。しかし鳥とは餌が大きく異なる肉食恐竜の一部も歯を捨て、とがったくちばしを選択している。

 ヤン氏とサンダー氏によると、空を飛ばない恐竜のふ化までの期間が従来の想定よりも長い3~6か月ほどであることを発見した昨年発表の研究がきっかけで今回の画期的な仮説に至ったという。

 両氏は2つの恐竜の胚の中にあった歯の化石の成長線(木の年輪のようなもの)を分析し、ふ化までの期間が想定より長いのは歯の形成に時間がかかるためだと結論づけた。

 研究チームは、古い恐竜が卵を埋めていたのに対し、初期の鳥類や一部の恐竜は開放型の巣で抱卵したこともふ化までの期間の短縮を促したかもしれないと指摘した。その一方で、今回の仮説は卵がふ化するまでに長い時間がかかる現在の水生カメに歯がないという事実と合致しないことを認めている。(c)AFP