【5月23日 AFP】欧州サッカー連盟(UEFA)は22日、UEFAが定めるファイナンシャル・フェアプレー(FFP)に抵触する恐れのあるイタリア・セリエAのACミラン(AC Milan)に対して、FFPに関する和解協定の申請を却下したと発表した。クラブのマルコ・ファッソーネ(Marco Fassone)最高経営責任者(CEO)は「驚きと苦々しさ」を感じると話しているが、ミランはこれで来季の欧州カップ戦から除外されるなどの制裁を受ける可能性が出てきた。

 ミランについては2017年、中国人実業家を中心とする合弁企業が、イタリア元首相のシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)氏から7億4000万ユーロ(約965億円)でクラブを買収したが、UEFAはクラブ経営の安定性を疑問視していた。

 ミランは米ヘッジファンドのエリオット・マネジメント(Elliott Management)から、巨額の利子がともなう3億ユーロ(約392億円)の資金を借り入れており、さらに昨年夏の移籍市場では、新戦力の獲得に2億ユーロ(約220億円)以上をつぎ込んでいる。

 UEFAは「連盟のクラブ財務管理機関(CFCB)は、イタリアのACミランについて、ファイナンシャル・フェアプレー規定に対する違反、特に収支均衡の義務違反で審議委員会に諮ることを決めた。借金の借り換えと、2018年10月を期限とする支払額に関して、不透明な部分が残っている」と話した。

 制裁の種類については、移籍市場での活動やメンバー登録の制限から、UEFA主催大会からの除外まで、さまざまなものが考えられる。ミランは来季のヨーロッパリーグ(UEFA Europa League 2018-19)出場を決めているが、処分が科されれば出場権が剥奪される可能性もある。

 この日、ローマで行われたセリエA各クラブのトップ会合に出席したファッソーネCEOは、UEFAの発表を受けて「想像がつくと思うが、彼らの発表に驚いているし、非常に苦々しく思っている。はっきり言って、和解協定は結べるものと思っていた」とコメントした。

「FFPが施行されて以来、多くのクラブと和解協定が結ばれていて、拒否されたのはロシアの無名クラブ一つだけだ。われわれは非常に健全でバランスの取れたクラブ運営を行っているし、協定は結べると確信していた。だから本当にがっかりしている」

「クラブの今後に関して、疑念と思い込みがあったからそういう判断になったのだと思うが、その疑念にはなんの根拠もない。今年は借金の返済も常に滞りなく済ませているし、クラブへの影響は一切ない。それにエリオットという貸主もいて、債務の保証を書面で申し出てくれている」

「当然、明日(23日)には法務部門で状況を把握する。審議委員会に従わなくてはならないのは、クラブとブランドイメージにとって痛手だし、入念に確認しなくてはならない。委員会にはデータを提出し、こう指摘するつもりだ。現在のミランは、まったく別のオーナーの下で犯した2014年から2017年までの過ちを必ず清算するとね」 (c)AFP