【5月21日 AFP】エストニア南部の小さな地方自治体が、シンボルマークに大麻の葉のデザインを採用することを決めた。町の名カネピ(Kanepi)は、現地語で文字通り「大麻」を意味する。

 カネピの地名は、16世紀の地図に小村として初めて登場する。周辺では何世紀も前から大麻草(ヘンプ)を原料に油や織物を生産する家内工業が盛んで、地名もこれに由来している。

 カネピは昨年、近隣の複数の村と合併し、人口5000人の自治体となった。新たに発足した自治体が、公式ロゴや旗、紋章のデザインを決めるオンライン投票を実施。町の住民だけでなく関心のあるエストニア国民全員に開かれた投票としたところ、先週発表された投票結果で参加者1万5000人超のうち約1万2000人が大麻の葉のデザインを選んだという。

 エストニアでは薬物としての大麻(マリフアナ)の使用は違法だが、カネピの自治体代表者は投票で1位となった紋章デザインを国の紋章委員会に提出し、承認を得た。

 カネピ議会のアンドルス・シーメ(Andrus Seeme)議員は17日、AFPの取材に「今では大麻の葉は、主に快楽を得るための薬物と見る人が多い。だが、実際ヘンプは長年にわたって実用的に使われてきた素材で、何百通りもの使い道がある」と述べ、町のシンボルマークとして掲げることに「何ら問題はない」との見方を示した。

 同議員によるとカネピにはオーガニック製品の大麻油(ヘンプオイル)や麻の実粉末(ヘンプフラワー)の生産業者が幾つかあり、地元の製パン店では麻の実(ヘンプシード)入りのパンを売っている。大麻を使ったコンクリート製造業者もあるという。(c)AFP