【5月20日 AFP】北朝鮮は韓国政府に対し、北朝鮮が中国で経営するレストランから2年前に韓国に集団亡命した女性従業員12人を送還するよう要求した。北朝鮮は数日前、予定されていた南北会談を突然延期したばかり。

 この女性たちについて北朝鮮側は拉致されたと主張しているのに対し、韓国側は自由意思で脱北したと主張しており、以前から物議を醸している。

 このレストランの店長は最近放送されたテレビ番組のインタビューで、韓国情報機関の指示で従業員らにうその最終目的地を伝え、自分について韓国へ行くよう脅したと告白した。

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)の19日の報道によると、朝鮮赤十字会は、この問題をめぐり南北関係が悪化する恐れがあると指摘している。

 朝鮮赤十字会は「韓国当局は北朝鮮人女性たちをただちに家族の元に返して、北南関係を改善する意思を示さなければならない」と述べた。

 先月には朝鮮半島を南北に隔てる軍事境界線上の板門店(Panmunjom)で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領による南北首脳会談が行われ、非核化と平和協定締結を目指すことで一致したばかり。

 今年に入ってから緊張緩和が急速に進み、来月シンガポールで開催予定の金委員長とドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領による米朝首脳会談に先立ち、北朝鮮は拘束していた米国人3人を解放し、核実験場の閉鎖の立会人として海外メディアを招待していた。

 しかし北朝鮮政府は先週、米韓合同軍事演習に抗議し、南北閣僚級会談を「無期限」で延期すると通知するとともに、米朝首脳会談を中止する可能性もあるとけん制した。(c)AFP