【5月19日 AFP】元チーム医師による性的暴行スキャンダルに揺れる米体操連盟(USA Gymnastics)は18日、2015年から女子チームを率いていたロンダ・フェン(Rhonda Faehn)氏が離職し、同連盟にもはや所属していないと発表した。

 同連盟はケリー・ペリー(Kerry Perry)会長の代理として声明を発表し、「これは個人的な事情によるものであり、詳細に関して説明することは控えます。この変化は難しいものになり得ると認識していますが、組織を改革するための必要かつ大胆な決断が阻害されるようなことがあってはなりません。確固たる権利の下にアスリート・ファーストの文化を確立するために、米体操連盟は日々努力しています」と述べた。

 元チーム医師のラリー・ナサール(Larry Nassar)被告による虐待スキャンダルをめぐり、フェン氏がどのような役割を担っていたのかは現在捜査中となっている。被害者の一人で五輪金メダリストであるアレクサンドラ・レイズマン(Alexandra Raisman)によると、同氏は2015年6月に事件が発覚してもすぐ行動に出なかったという。

 レイズマンは米紙インディアナポリス・スター(Indianapolis Star)に対して、「彼女が情報を得ていたか否かは分かりませんが、私は1年以上も連邦捜査局(FBI)から接触がありませんでした。その当時で50~100人は性的いたずらの犠牲になっていました」と語っている。

 現在54歳のナサール被告は、治療と称して20年間にわたり少女たちに性的虐待を加えていたとして、今年1月に終身刑を言い渡された。レイズマンのほかにも、同僚のスター選手であるシモーネ・バイルス(Simone Biles)、ガブリエル・ダグラス(Gabrielle Douglas)、マッケイラ・マロニー(McKayla Maroney)氏らが被害者として名乗り出ており、この事件は米五輪史上最大のスキャンダルにまで発展した。

 一方、米体操連盟は「与えられた権利と安全が保障された環境下で、アスリートたちが高いレベルのトレーニングと試合が行えるようにするという、われわれの強い願いを促進するための建設的な改革」をこれからも実施していくとしている。(c)AFP