【5月19日 CNS】中国・北京航空航天大学(Beihang University)の「月宮1号(Yuegong-1)」から15日、実験を終えた4人の志願者らが姿を現した。被験者が2チームに分けられ、一定期間ごとに3交代制で閉鎖施設内で送り、合計で「365+5日間」の世界最長となる閉鎖空間での実験が終了した。

「月宮1号」は、植物、動物、微生物、人の四種の生態系生命維持システム。外界と隔離され、内部で特殊な生活圏が作り出される。志願者らは施設内で、自分たちで食糧となる穀物や野菜を植える。酸素、水も一切排出せず、循環させて使用する。人類が将来、宇宙で送るかもしれない生活や心理面の模擬実験だ。

「月宮365実験」と名付けられたこの実験は、2017年5月10日に開始。志願者である8人の被験者が2チームに分けられ、3交代制で閉鎖施設内で生活するという内容だ。

 被験者らは施設内で小麦やレタス、トマトなど30種類以上の農作物を育てて食糧にしていた。

■5日間延長を突然通告、心理状態の変化も観察

 当初の計画では5月10日に終了するはずだったが、実験を指揮する劉紅(Liu Hong)教授の指示で、臨時に5日間延長された。外に出られる時期が予定より5日遅れるという状況下での、被験者の心理的変化を観察するためだったという。

 予定されていた終了時期の前週になって突然、被験者らは延長を通告された。「各個人の違った反応を見るためだ」と劉教授。被験者が身に着けていた測定器から、心拍数や血圧、脳波などのデータを集めるという。

 劉教授は、「このシステムは、代謝レベルの異なる乗組員の生命維持を安定して支えることができる」と話した。

「月宮1号」実験チームは今後、中国の月、火星探査機の搭載の機会を積極的に活用し、月面や火星の表面で小規模の生命維持システム実験を行い、地上実験との比較分析を行いたいとしている。(c)CNS/JCM/AFPBB News