【5月18日 東方新報】中国・広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)桂林市(Guilin)にある野生動物施設の雄森熊虎山庄で8日、男性飼育員が死亡しているのをほかの飼育員が発見した。警察の調べによると、施設内のトラにかまれたことが原因とみられる。

 死亡した飼育員は、ほかの飼育員とともにトラのおりの清掃を終えた。一緒に掃除をしていた飼育員が同日午前11時15分頃におりを出て、午後2時30分頃に戻ると、男性が死亡していたという。

 同市臨桂区(Lingui)林業局の莫建華(Mo Jianhua)副局長は翌9日、「トラにかまれた時刻はおそらく午前11時30分から12時の間だと推測される」と話した。同局の調査班によると、この施設の経営許可証などを発行している機関が別にあるため、同局では監視カメラの映像を入手できないという。関係者は、「確かではないが、施設の構造が簡易であるため、監視カメラはないかもしれない」と話している。

 死亡した飼育員男性は、10年近くこの施設で働いていたというが、遺族らは詳しい仕事内容について説明されていないという。

 飼育員男性のおいにあたる諸葛さんは、「事件の今後の処理や賠償よりも、真相が知りたい。おじが亡くなったと知らされたのは夜の7時だった。事故発生推定時刻とおじが亡くなっているのが発見された時刻が、こんなに開いているのはなぜなのか。監視カメラの映像も見せてもらえない」と施設側が安全対策をきちんと取っていたのか疑っている。

 諸葛さんは、「きちんとした説明をしてほしい。おじはトラにかまれたことで亡くなったのか、発見された時にはまだ息があったが、手当が遅れたために亡くなってしまったのか、一体どうなのか」と話している。

■14年前にも同様の事故で職員が死亡

 記者が施設を訪れたところ、トラのおりの外には雑草がはびこり、おりはさびついて褐色になっていた。施設の責任者とは連絡がつかず、係員の話では、施設は昨年から公開を中止していることしかわからなかった。

 この施設は、1993年に開業し、クマやトラなどの野生動物の鑑賞、研究、繁殖、訓練などの機能が一体となった中国最大の繁殖研究施設として知られていた。しかし2004年、飼育員がライオンにえさを与えていた際に、かまれて死亡する事故が起こった。あれから14年、また同様の事故が起こった。

 広西大学(Guangxi University)動物科学技術学院の周放(Zhou Fang)教授は、「これは偶発的な事故だろう。飼育員がかまれたり傷つけられることは世界中で毎年起こっている。だが、問題は安全管理だ。独立した第三者機関による監督、調査が必要。動物と人が触れ合う際の安全が保証される設備や日常管理、応急対処の教育などが必要だ」と話している。(c)東方新報/AFPBB News