■改革を呼びかけ

 通常、入管施設で長期収容されている外国人は退去強制令書の発布を受けている。しかし実際にはその多くが難民としての保護を求めている難民申請者であり、認定手続きが行われている間、彼らは仮放免の申請を行うことができる。

 インド人のクマルさんも仮放免を申請していた。自殺を図ったのは申請が却下されたことを知った直後だったと、クマルさんと同室だった別の被収容者から聞き取りをした「牛久入管収容所問題を考える会」の田中喜美子(Kimiko Tanaka)さん(65)は話す。

「3月中には仮放免の申請が却下されていたのだが、彼はそれを4月12日に知ったようだ」

 インド・パンジャブ(Punjab)州でAFPの取材に応じたクマルさんの兄弟サンジュさんは、クマルさんの死に家族はショックを受けており捜査の開始を求めていると話した。

「彼には自殺する理由などない。クマルはちょっとやそっとのことではへこたれない人間だった」

「亡くなる前日に電話をくれた。そのときは上機嫌だった。5日後にまた電話すると言っていたのに」

 そして「当局は信用できない。なぜ亡くなったのか、捜査を要求している」と付け加えた。

 JARなど人権団体は、長年にわたり入管収容施設の運営について改革を訴えている。長期収容の中止、医療体制の改善、第三者機関による介入などだ。

 日本の難民政策も批判の対象だ。

 難民認定申請数は昨年だけで2万人近くに上ったが、認定されたのはわずか20人。申請者の大半は経済移民だというのが政府の主張だ。

 しかし、支援団体や国連(UN)は、真に危険な立場にある難民申請者に対しても証明が極めて難しい認定要件が課されていると指摘する。