■「リビア方式」か、「トランプ方式」か?

 だが、北朝鮮を憤慨させたのは最近、米FOXニュース(Fox News)にボルトン氏が寄せたコメントだった。北朝鮮に非核化を約束させるための青写真として「2003~2004年のリビア方式」に言及したのだ。

 2003年後半、当時のリビアの最高指導者、故ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐は、制裁緩和と引き換えに核開発計画と化学兵器の放棄に同意。しかしその後、北大西洋条約機構(NATO)の空爆による支援を受けた反乱で同大佐は殺害されており、そのことが北朝鮮側に最悪の結末を予想させたようだ。

 北朝鮮の金次官は、ボルトン氏のコメントは「威厳あるわが国にリビアやイラクの運命を押し付ける邪悪な動き」だと述べ、「こうした米国の動きに対し、私は憤りを禁じえず、米国の誠実さについても疑念を抱かざるを得ない」と批判した。

 一方、米ホワイトハウスはボルトン氏の発言を明白に否定はしていないが、大統領執務室と同氏のコメントの間に距離を置こうとしていることは明白だ。

 対北朝鮮外交の急速な進展は、北朝鮮の体制転換こそ最良の解決策と考えるボルトン氏と、すでに平壌で金委員長と2回会談したマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官との間で対立が起きるのではとの懸念をいっそう高めている。

 米ワシントンのシンクタンク、ブルッキングス研究所(Brookings Institution)のトーマス・ライト(Thomas Wright)氏は、そうした対立が起こる可能性はあるとしつつ、最終的にトランプ氏はボルトン氏とたもとを分かつ可能性があると指摘している。(c)AFP/Jerome CARTILLIER