【5月17日 AFP】天文学者チームは16日、地球から132.8億光年の距離にある非常に遠方の銀河を観測したと発表した。宇宙で最初の星々が輝き始めた「宇宙の夜明け」にこれまでで最も近づいた成果だという。

 宇宙に存在する酸素や炭素、その他の元素を生み出した星形成の時期を正確に特定することは、すべてのものの始まりを追究している天文学者らの至上目標の一つとなっている。

 今回、どちらも南米チリにあるアルマ電波望遠鏡(ALMA)と欧州南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡VLT(Very Large Telescope)で得られた観測データにより、研究チームは目標に一歩近づくことができた。

 国際研究チームが英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した論文によると、「MACS1149-JD1」と命名された銀河からの光は132.8億光年遠方から到来した、すなわち132.8億年前のものであることが、最新の詳細データによって明らかになったという。

 これは、宇宙が誕生したビッグバン(Big Bang)が起きてからほんの5億年後の銀河を観測していたことを意味する。現在の宇宙年齢の3.5%ほどしか経過していない時期だ。

 論文の共同執筆者で、英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)のニコラス・ラポルテ(Nicolas Laporte)氏は、AFPの取材に「これは宇宙における最初の銀河の一つだ」と語った。

 極めて重要なのは、この古代の銀河にある一部の星々がすでに「成熟」段階にあることだ。これは、これらの星が2億5000万年ほどの長い間、銀河内に存在していたことを示唆している。

「MACS1149-JD1で見つかった成熟した星々の存在は、現在の望遠鏡で観測可能な範囲よりもっとずっと以前にさかのぼる時期に星形成が起きていたことを意味している」とラポルテ氏は指摘しており、「このことは、最初の銀河が出現した『宇宙の夜明け』の特定にとって非常に興味深い意味を持つ」と続けた。