【5月17日 AFP】米上院情報特別委員会(Senate Intelligence Committee)は16日、米中央情報局(CIA)の次期長官に指名されたジーナ・ハスペル(Gina Haspel)副長官(61)を賛成10、反対5で承認した。かつて海外の秘密収容施設で収容者への拷問に関与したとされるハスペル氏のCIA長官就任は、上院本会議で承認されることがほぼ確実となった。

 ハスペル氏は、国務長官に就任したマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)前CIA長官の後任としてドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領から指名を受けた。ロシア情勢に詳しく、1985年に入局したCIAではずっと秘密工作に従事してきた。

 ハスペル氏をめぐっては、拘束した国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)関連の容疑者に「水責め」など一般的に拷問とみなされる尋問を行っていたタイの米秘密収容施設を管理監督していたことを問題視する声がある。

 同氏は先の上院公聴会で、2001年9月11日の米同時多発攻撃後に行われたこうした過酷な尋問手法が「道義に反する」ものだったと明言することを拒否。これに対し、ベトナム戦争(Vietnam War)従軍中に捕虜となり拷問を受けた経験を持つジョン・マケイン(John McCain)上院議員(81)は、ハスペル氏の承認を拒否するよう働き掛けていた。

 しかし、ハスペル氏は今週、上院情報特別委員会のマーク・ワーナー(Mark Warner)副委員長(民主党)に宛てた書簡で、水責めなどの「強化尋問」と呼ばれる手法は「CIAが取るべきものではない」として反対する姿勢を強調し、承認を求めた。上院情報特別委員会の無記名投票では、ワーナー氏と民主党議員1人が支持に回り、ハスペル氏の指名を承認。共和、民主両党の勢力が拮抗(きっこう)する上院でも、早ければ週内にも指名が承認され、女性初のCIA長官が誕生する見通しとなった。

 CIAでの全経歴を通じて秘密活動に従事した人物が長官となるのもハスペル氏が初となる。(c)AFP/Paul HANDLEY