【5月15日 AFP】中国・四川航空(Sichuan Airlines)機の操縦室の窓が破損し、副操縦士の体の半分が外に吸い出される事態に陥って緊急着陸した14日の事故を受け、市民らは同機の機長を「英雄」と呼んで称賛している。

 エアバス(Airbus)A319型機を操縦していた劉伝健(Liu Chuanjian)機長は、強烈な冷気と風にもひるまず、当初の時速800~900キロから速度を徐々に落として約20分後に着陸。乗客乗員128人は全員無事だった。

 かつて空軍の飛行教官を務めていたという劉機長は、地方紙・成都商報(Chengdu Business Daily)の取材に対し、「風防が突然壊れてごう音が聞こえた。横を向くと、副操縦士の体の半分が既に窓の外に出ていた。副操縦士は運良くシートベルトを着用していた」と振り返った。

 また劉氏は四川テレビ(Sichuan Television)に対し、「一切何も考えていなかった。同機を制御して着陸させたい一心だった」と語った。

 その一方、中国版ツイッター(Twitter)のウェイボー(微博、Weibo)では、劉機長に関する投稿の閲覧者やチャットの参加者数が翌15日午後までに1億6000万人以上に上った。

 最も人気のチャットフォーラムには「わが英雄の機長」というタイトルが付けられ、あるユーザーは「これは中国航空史に残る奇跡。飛行教官の並外れた精神のあり方を示している」とコメントした。(c)AFP