【5月15日 AFP】ベトナム戦争(Vietnam War)中の1968年に起きた「ソンミ(ミライ)村虐殺事件(My Lai massacre)」で、数百人の村人を殺害した米部隊を率いたアーネスト・メディナ(Ernest Medina)米陸軍大尉が、ウィスコンシン州で死去していたことが分かった。81歳だった。

 今月8日に亡くなっていたことを家族が公表した。

 1968年3月16日に起きたソンミ村虐殺事件では、当時の南ベトナムのクアンガイ(Quang Ngai)省ソンミ村で、米軍部隊が武器を持っていない村人多数を殺害。犠牲者の多くは子どもや女性、高齢者だった。事件は米軍史上、最大の暗部の一つとされる。

 米軍は当初、虐殺の事実を隠蔽(いんぺい)していたが、後に村人347人が殺害されたと認めた。ベトナム側は犠牲者数を子ども173人を含む500人超としている。

 メディナ氏は当時、虐殺に関与した小隊が属する歩兵中隊を指揮していたため、軍法会議にかけられた。裁判では、虐殺が行われていることに気づかなかったと主張。責任は問われず無罪となった。

 2009年には米紙に「あの日ミライで起きたことについて、良心の呵責(かしゃく)を覚えない日は一日もない」と述べ、事件について謝罪している。

 メディナ氏はウィスコンシン州のマリネット(Marinette)で妻と不動産業を営んでいた。葬儀は14日にマリネット近郊で営まれた。(c)AFP