■火星探査に「鳥の目」を

 マーズヘリコプターは備え付けの太陽電池でリチウムイオン電池に充電し、火星の夜の寒さ対策として加温装置も備える。地球上の管制官の指示を受信・解釈し、自律的に行動するよう設計されている。

 30日間で5回の飛行試験を行う計画で、1回ごとに飛行距離を伸ばし、最終的には数百メートルの飛行を目指す。最初の飛行では、約3メートル垂直上昇し、30秒間ホバリングすることが目標とされている。

 NASAはマーズヘリコプターを失敗の可能性も高いが成功すれば大きな価値を持つ技術を実証するものだと位置付けている。成功すればローバーでは不可能だった場所にも到達できる将来の火星探査ミッションのモデルとなり得るが、失敗したとしてもマーズ2020の火星探査ミッション全体にはそれほどの打撃とならない。

 NASAのトーマス・ザブーケン(Thomas Zurbuchen)科学局長は「将来の探査機には、隣の丘の向こうにあるものを明確に捉える能力が不可欠だ」と述べた。

「地表や軌道上から火星を見ることに関しては既に素晴らしい能力を持っている。これにマーズヘリコプターからの鳥の目の視点が加われば将来の火星探査ミッションがどれほどの成果を挙げるのか、想像することしかできない」 (c)AFP/Kerry SHERIDAN