【5月12日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は11日、2020年に初めて火星にヘリコプターを送る計画を発表した。このドローンのような小型無人ヘリによって火星に対する理解が深まることが期待されている。

 シンプルに「マーズヘリコプター(Mars Helicopter、火星ヘリコプター)」と呼ばれるこの機体の重量はわずか1.8キロ足らず。胴体部分の大きさはソフトボール程度だ。

 マーズヘリコプターは火星探査機「マーズ2020(Mars 2020)」の下部に搭載される。マーズ2020は車輪付きの火星探査ローバーで、火星環境の居住可能性を調べたり、古代生命の痕跡を調査したりするほか、天然資源や将来の有人探査における危険性なども見極める。マーズ2020は2020年7月に打ち上げられ、2021年2月に火星の地表に到達する計画になっている。

 NASAのジム・ブライデンスタイン(Jim Bridenstine)長官は声明で「NASAには数々の史上初を成し遂げてきた輝かしい歴史がある」「別の惑星の空でヘリコプターを飛ばすというアイデアにワクワクする」と述べた。火星でのヘリコプター飛行まだどの国も成し遂げていない。この事業はNASAジェット推進研究所(JPL)の技術開発プロジェクトとして、2013年8月に始まった。

 火星の薄い大気の中を飛ぶために、この宇宙ヘリは超軽量でありながらも可能な限りパワフルでなければならない。

 JPLのマーズヘリコプタープロジェクトの責任者ミミ・アウン(Mimi Aung)氏は「地球上でヘリコプターが飛行した最高高度は約4万フィート(約1万2200メートル)だ」「火星には地球のわずか1%ほどの大気しかないのでヘリコプターが火星の地表にある時点で、(大気の薄さは)既に地球の高度10万フィート(約3万500メートル)に相当する」と述べた。

 NASAの声明によると、マーズヘリコプターは地球上のヘリコプターの約10倍に当たる毎分約3000回転の二重反転ローターを2組装備し、薄い大気中でも揚力を発生させることができる。