【5月11日 AFP】北朝鮮が中国で経営するレストランから2年前、女性従業員12人が韓国へ集団亡命したのは、韓国情報機関の作戦の一環でだまされてのことだった──。女性らと共に韓国入りした同レストランの店長が、韓国テレビ局に対し衝撃の暴露を行った。

 注目を集めたこの事件をめぐって北朝鮮側は、従業員の女性らは拉致されたのであり、帰国させない限り南北離散家族再会事業は中止すると主張。一方韓国側は、従業員らは自らの自由意志で脱北したのだと説明し、訴えが食い違っていた。

 しかし10日夜に放送されたテレビ番組で、従業員らが働いていた中国・寧波(Ningbo)にある北朝鮮レストランの店主、ホ・ガンイル(Heo Gang-il)氏は、従業員らにうその最終目的地を伝え、自分について韓国へ行くよう脅したと告白した。

 ホ氏がケーブルテレビ局JTBCに語ったところによると、同氏は2014年、韓国情報機関の国家情報院(NIS)に、中国国内で採用されたという。

 2016年になって発覚を恐れた同氏は、NISの工作員に亡命手配を要請。同工作員は直前になって、従業員らも連れて行くよう指示したという。

 一行が同年4月、韓国に到着すると、それまでの数年間で最多の集団亡命としてメディアが大きく取り上げた。これを受けて北朝鮮側は国営メディアを通じ、従業員らの即時帰還を強く求めた。

 韓国は亡命者に対して社会適応教育を行うのが常であり、女性らも4か月間の受講後に韓国社会での生活を開始したが、NISはその所在を隠しており、当事者による公の場での発言は今回放送されたテレビ番組が初めてとなった。

 ホ氏は、見返りとして約束されていたNISでの職と勲章が得られなかったことから、今回の暴露に踏み切ったと話している。

 これについて韓国統一省は、事実確認を要するという見方を示している。(c)AFP