【5月10日 AFP】カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は9日、同国が第2次世界大戦(World War II)開戦の数か月前にナチス・ドイツ(Nazis)からの亡命を希望するユダヤ人の受け入れを拒否したことについて、謝罪する意向を示した。

 カナダ首相官邸の声明によると1939年5月13日、「安全と迫害からの保護を必死に求める」ドイツ系ユダヤ人が遠洋定期船「セントルイス号(MS St. Louis)」に乗ってドイツを出港し、大西洋を横断。

 しかし、ユダヤ人たちは最初の目的地キューバでは上陸を許可されず、続いて米国とカナダでも入国を拒否された。「0人でも多過ぎる」という、当時の差別的な移民政策が理由だったという。

 欧州への帰還を余儀なくされたユダヤ人の多くは後に強制収容所へと送られ、254人がホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)の犠牲となった。

 トルドー首相は声明で「カナダがセントルイス号に乗船していたドイツ系ユダヤ人907人の亡命を拒否した時、わが国は乗客だけでなく、その子孫やコミュニティーをも見捨てたのだ」と指摘。

 トルドー氏は謝罪によって亡くなった人々がよみがえったり、ホロコーストで台無しになった人生を埋め合わせられたりするわけではないとする一方、こうした困難な事実を認め、歴史から学び、反ユダヤ主義と日々闘い続けていくことは「われわれ共通の責任である」とし、「二度と繰り返さない」という厳粛な誓いに意味を持たせることになると強調した。(c)AFP