■奥の手

 だが、賭けは成功した。マハティール氏は与党連合「国民戦線(Barisan Nasional)」の主要なマレー系支持基盤に食い込み、都市部とマイノリティー、特に人口の4分の1を占める中華系の野党連合支持者に働きかけた。選挙期間中は各地を精力的に回り、ナジブ氏の経済政策と同氏が設立した1MDBをめぐる不正資金疑惑を批判した。

 マハティール氏は、「人生で犯した最大の過ちはナジブを選んだことだ。過ちを正したい」と訴えた。

 マハティール氏の政界復帰に関連し最も注目に値するのは、確執があったアンワル・イブラヒム(Anwar Ibrahim)元副首相と和解したことだ。

 アンワル氏はマハティール氏の確実な後継者だとみられていたが、1998年に政治的争いにより罷免された。その後、同性愛と権力乱用の罪で逮捕された。人権保護団体や国際社会は、アンワル氏の有罪判決は政治的動機に基づく判断だと非難した。

 アンワル氏は釈放後の2013年、自身の率いる政党がこれまでで最高の議席を獲得した。だがナジブ政権により、2015年再び逮捕された。

 マハティール氏は、アンワル氏が釈放されたら、権力の座を譲ると明言している。(c)AFP