【5月9日 時事通信社】京都大学(山極寿一学長)は8日、ブラジルのアマゾン川流域の密林に大型の研究拠点を開設した。流域の生物・生態系を調査する世界の研究者にとって、これまで現場に滞在できる施設がなく、長期的なフィールドワークが可能になると期待されている。

 研究拠点「フィールドステーション」は、京大がブラジル国立アマゾン研究所(INPA)、国際協力機構、伊藤忠商事と協力し、アマゾン川中流域の都市マナウスから水路で約130キロ離れたクイエイラス川沿いの密林に開設した。

 多目的棟と宿泊棟から成り、総面積は750平方メートル。トイレやシャワー、台所が備えられ、60人が同時に宿泊できる。研究者はこれまで遠くに停泊した船などを活動ベースとしてきたが、今後は快適かつ長期的な調査が可能となる。

 30年にわたりアマゾンの鳥類調査に携わる米国人研究者マリオ・コーンハフト氏は「多くの機器を持ち込めるし、定点観測にはうってつけの環境。われわれにとっては五つ星ホテル」と満足そうに語った。

 山極学長は、「(京大は)アジア、アフリカの熱帯雨林に関して実績を挙げてきた。三つの熱帯雨林をつなげ、生物多様性の宝庫を残すための研究が一層進むのでは」と意義を強調。INPAのルイス・デフランサ所長は「周辺住民にとってもいいプロジェクトになり得る。人類と自然の共存のシンボルだ」と述べ、先住民族の環境教育に取り組む場とする考えを示した。(c)時事通信社